電力自由化で電気料金は安くなる?それとも高くなる?
現在の電気料金は、関東圏は東京電力、関西圏は関西電力、九州圏は九州電力というふうに地域を独占して販売しています。
ということは、電気料金の価格も電力会社が自由に決められるのでは…。
この地域はウチが独占しているんだから、電気料金を上げるのも自由だよ…なんて。
当然、それでは困りますよね。
そこで、国が料金の上限を定める“料金規制“という制度を用いて、市場を独占する代わりに利益は適正水準に定めますよという仕組みを作っているわけです。
しかし、2016年4月1日からの電力自由化が開始されることで、この制度は2020年以降に廃止される見通しとなっています。
それでは、電力自由化により、今後、電気料金は安くなっていくのでしょうか?
電機業界に詳しい東京理科大学大学院イノベーション研究科教授の橘川武郎氏は次のように語っています。
「4月以降は、おそらく顧客奪い合いの強烈な値下げ合戦が起きるでしょう。」
「そのため短期的には電気料金は安くなるかもしれません。」
「しかし長期的にはそうしたお得な料金体制は維持されない可能性が高い。」
「厳しい値下げ競争の結果、企業の収益に結びつかず、発電所整備などの投資ができなくなることで電気供給量が減っていくことが予想されるからです。」
「海外でも、自由化の後は需給バランスが崩れて、結果的に電気料金は高くなることが多いですから…。」
確かに、教授のおっしゃるとおりですね。
“電力自由化で電気料金が安くなるぞ!”
そんなふうに簡単に安心してはいけないわけですね。
目先の安い電気料金に惑わされず、自分自身の電気を使う生活シーンを考慮し、電力を供給してくれる事業所の将来性や規模も参考にしながら、4月1日の電力自由化を迎えてください。
しばらくは、今のまま静観していたほうがいいんですかね…。